JR御殿場線の山北駅は(恐らくですが)神奈川県内のJR駅で唯一、駅窓口業務を自治体などに委託する簡易委託駅という営業形態と取っています。
www.townnews.co.jp
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タウンニュースの記事によると、2012年3月にそれまで有人駅だったところ無人化。
その後2012年5月に山北町がきっぷ販売業務をJR東海から受託することとなり現在に至っているようです。
(駅舎でのきっぷ販売業務は、山北町から委託を受けたNPO法人の方が行っているとのこと)
山北駅について、きっぷ販売に関することのほか駅舎やホームの様子なども含め記録したので記事にまとめました。
駅舎・窓口付近の様子

駅舎の様子
タウンニュース記事内の写真では、現在自動販売機が並んでいる位置にKIOSKが写っているが、閉店してしまったようだ

窓口と改札口の様子
NPO法人の方はきっぷの販売のみJRから受託しており改札業務は行わない
窓口左上には、「当駅で発行できる乗車券は当日限り有効のものに限る」と記載がある

表形式の運賃表
御殿場線全駅と東海道線(国府津接続)の主要駅が記載されている
(JR東日本の運賃改定前に撮影したため、現在は東海道線区間の運賃が変わっていると思われる)

販売している乗車券についての掲示物
御殿場線区間は運賃表に記載があってもきっぷを販売していない行先がある
一方東海道線区間は、運賃表に記載の駅と実際にきっぷを販売している行先が一致している
販売されているきっぷ

山北駅窓口で購入した乗車券(山北→平塚 2025/1/2)

山北駅窓口で購入した乗車券(山北→御殿場 2025/4/8)
山北駅の窓口では、事前に松田駅のマルス端末で発券されたマルス券に、その場で購入当日の日付印を入れる形できっぷを販売しています。
マルス端末での発券時点ではきっぷの利用日が不明なため、利用日を磁気情報で記録できないからか、自動改札機に投入できない120mm券となっています。
販売している行先は前述の掲示物のとおりで、最遠が東京駅となっており100kmを超える途中下車可能な行先は販売されていません。
また、きっぷの販売時間は9:00~17:00となっています。
事前発券のマルス券に後から日付を記載する形態でのきっぷ販売は、山北駅のほか名松線伊勢八知駅でも行われているようです。
中央線古虎渓駅でも同様の形態でのきっぷ販売が行われていましたが、こちらは2026年5月をもって委託販売が終了してしまいました。
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改札内の様子

駅舎とホームを結ぶこ線橋からホームを見下ろす
画面奥が沼津方
ホームに停車中の313系1300番台は2024年から御殿場線で運用されるようになった

こ線橋から国府津方を見る

ホーム沼津側の端部から沼津方を見る
出発信号機の先に上り勾配が見え、峠越えであることを伺わせる
また、上り勾配の付近は桜並木となっており、桜シーズンにはカメラマンで賑わう

ホーム沼津側端部から国府津方を見る
10両編成くらいは停車できそうな長いホームである

駅名標

ホーム国府津側端部から国府津方を見る

国府津側端部には簡素だが南口がある
御殿場線は当初東海道線の一部として開通し、その後国府津~沼津間を熱海経由で結ぶ現行ルートが開通してそちらが東海道線となった歴史があります。
東海道線時代の山北駅は、峠越えの際に連結していた補助機関車の基地(山北機関区)が設けられ、鉄道の街として賑わいを見せていたそうです。
そのため現在でも、機関区を構えていた時代の名残として広々とした駅構内となっています。
きっぷ販売の今後について(雑感・考察)
山北駅からJRの駅係員が撤退し、きっぷ販売が山北町への委託へと変更になった2012年当時、御殿場線の御殿場~国府津間では交通系ICカードが利用できませんでした。
その後2019年に御殿場~下曽我間へとICカード利用エリアが拡大され、山北駅でもICカードを利用できるようになりました。
更に2021年には下曽我~国府津間でも交通系ICカードが利用できるようになりましたが、ICカードでのJR東海TOICAエリアとJR東日本Suicaエリアの越境利用は定期券に限られています。
そのため、現在でも山北駅から二宮・鴨宮以遠のJR東日本区間まで乗車する場合は紙のきっぷを購入する必要であり、TOICAエリアとなった現在でも簡易委託でのきっぷ販売が続いている意義の1つになっているのではないでしょうか。
JR東海は2027年より御殿場線に「お客様サポートサービス」を導入すると公表しています。
https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000044902.pdf
railway.jr-central.co.jp
このシステムが導入された駅は、インターホン等によって遠隔での旅客案内ができるよう整備された上で無人駅となります。
ただし、御殿場線のシステム導入駅に山北駅は含まれていないため、「お客様サポートサービス」によって委託販売が終了することは無いようです。
| |
現行(NPOへの委託) |
お客様サポートサービス |
| きっぷ販売時間 |
9:00~17:00 |
列車運行時間帯は販売 |
| 発売する乗車券の種類 |
特定の行先のみ |
100kmまでの運賃帯は網羅 |
| ICカードへのチャージ |
不可 |
可 |
| 乗り越し精算の対応 |
不可 |
可 |
しかし、簡易委託でのきっぷ販売よりも「お客様サポートサービス」を導入した方が旅客の利便性は向上すると私は考えます。
ざっくりまとめると上記表のとおりですが、システム導入と引き換えに駅係員は常駐しなくなります。
町では「かつて鉄道の町として名を馳せた町の玄関口。今回の切符販売は無人駅対策の第一弾。今後、町の特産品や物産の販売なども検討していきたい」と話している。
町が切符販売を開始 山北駅の無人化にストップ | 足柄 | タウンニュースより引用
一方、山北駅での簡易委託開始時のタウンニュース記事(2012年)を見るに、町の活性化という側面から駅に人員を配置しているように見受けられますが、それから12年が経過し、ICカード対応や近隣駅へのシステムの導入決定等、環境が変化しました。
旅客の利便性という観点で考えるのであれば、町としても人員配置に資金を使うのではなく、「お客様サポートサービス」導入に対し補助金を供出するという方法もあるのではないでしょうか。
駅に係員がいるという見栄えに拘り過ぎた結果、旅客の利便性が損なわれるようでは本末転倒なのではないかと思います。
勿論趣味人としては、手売りの珍しいきっぷを購入できる現状の方が面白いとは思いますけどね。
JR東海管内で類似事例が無いか調べたところ、滋賀県内の東海道線醒ケ井駅と柏原駅では、近隣駅への「お客様サポートサービス」導入後も、米原市が委託したシルバー人材センター職員による窓口営業が続けられているようです。
www.city.maibara.lg.jp
ただしこちらでは、駅に設置されたマルス端末をシルバー人材センター職員が操作してきっぷ販売を行っており、山北駅のように販売できる乗車券の行先に制限があるということは無いようです。
(おまけ)駅舎側の駅前の様子

駅舎側の駅前は昭和レトロな駅前通りが広がっている
まるで映画のセットのような見た目である
おわり。